【宇宙の神秘】 「ダークマター」 と「ダークエネルギー」 と宇宙観測
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ダークマターとダークエネルギー
宇宙には何があるのか・・・・
実は、“見える物質”は宇宙のわずか4%を占めているにすぎない。
では、残り96%を占めるものはいったい何か。
それが 「ダークマター」 と「ダークエネルギー」である。
◆恒星
夜空で輝く星の多くは、太陽のような「恒星」である。地球にもっとも近い恒星は、ケンタウルス座プロキシマ星で約4光年もはなれている。ほとんどの恒星では太陽のように、中心部分(コア)に大量の水素ガスが圧縮されており、高温・高密度の状態になっている。
ちなみに太陽のコアの温度は約1600万℃となっており、コアの半径は約15万kmで太陽全体の半径の5分の1程度である。コアでは、水素の原始原子核どうしが融合して、より大きな原子核をつくる「核融合反応」がおきている。
この反応で生じた光は、コアから数百万年から1000万年かけて太陽の表面に伝わり、宇宙空間に放たれていく。
▲ケンタウルス座アルファ星は、ケンタウルス座の恒星。三重連星で、ケンタウルス座で最も明るい。実視等級は-0.01等と明るく、全天で3番目に明るい星である。また、太陽系から4.37光年しか離れておらず、最も近い恒星系でもある。現在も秒速25kmで太陽系に近付いており、およそ25,000年後には3光年まで接近する。
▲太陽と比較したケンタウルス座α星の大きさと色
◆銀河
恒星は、宇宙空間の中で、てんでばらばらに散らばっているわけではない。多くの恒星は、互いの重力で結びつき合いながら、銀河内にとどまっている。
天体望遠鏡などで宇宙空間を大きくとらえたとき、目立つ構造が「銀河」である。観測できる範囲の宇宙には、約1000億個もの銀河が散らばっていると見積もられている。
銀河の起源は、ガスが互いの重力で集まってできたガス雲だと考えられている。このガス雲の中で「星」が形成されていったようだ。形成された星は重力によって互いに結びつき、銀河内にとどまっている。
私たちの太陽系も、「天の川銀河(銀河系)」に属している。
銀河は形により、「渦巻銀河」と「楕円銀河」に大きく分類される。
◆渦巻銀河
渦巻銀河では、恒星や、恒星の材料となるガスやちりなどの星間物質が円盤上に分布して、銀河中心のまわりを回転している。円盤部分には、恒星や星間物質がつくる渦巻模様が見られ、現在でも恒星の形成が行われている。私たちの属する天の川銀河も渦巻銀河(正確には棒渦巻銀河)である。
▲渦巻銀河 N74
▲渦巻銀河 M106
▲渦巻銀河 M106 の合成写真
チャンドラX線観測衛星のX線(青)、超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)の電波(紫)、ハッブル宇宙望遠鏡の可視光(青と黄)、スピッツァー宇宙望遠鏡の赤外線(赤)の各画像を重ね合わせている。
◆楕円銀河
楕円銀河は円盤部分をもたずに、楕円の形をした銀河である。渦巻銀河とは異なり、星間物質はほとんどなく、星形成はすでに終わっていると考えられている。
▲楕円銀河
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、かみのけ座の楕円銀河NGC4150
2003年、NASA(アメリカ航空宇宙局)の観測衛星「WMAP」が驚くべき観測結果をもたらした。
WMAPの見積もりによると、銀河や星やガスなどの“見える物質”をすべてかき集めたとしても、宇宙を構成する質量のわずか4%にしかならないのである。
では、残り96%は、いったい何が占めているのか・・・・
◆ダイジェスト・ダークマター
どんな手段をつかっても、いまだにその姿をみることができないダークマター。
このダークマターこそが、現代の物理学に立ちはだかる大きな謎の1つである。
なぜ、見えないものが「存在」するとわかるのだるか。
宇宙には、銀河が密集した集団「銀河団」がたくさんある。銀河団の中の銀河は、それぞれがさまざまな方向に動いている。
銀河団に含まれる物質の重力だけだと、銀河は動きにまかせて、銀河団を飛び出していってしまうはずだ。
しかし、銀河はまるで何かに引きとめられているかのように、銀河団の中に留まりつづけている。
この、銀河を引きとめている“何か”こそが、ダークマターの重力ではないか、と考えられている。
実はダークマターは、現在の宇宙構造をつくった立役者だったのではないかとも考えられている。
具体的にいうと、星や銀河をつくる“種”である。まず、宇宙初期に、ダークマターが互いの重力でどんどん集まる場所ができた。そこでは重力がどんどん強くなっていき、原子(ガス)も引き寄せられてくるようになった。
やがて、それらのガスが収縮して、星や銀河ができたというシナリオである。
◆ダークマターの重力で集められたガスから、星や銀河が形成されるシナリオ
まず、ダークマターがほかの場所より少しだけ密度の高い場所が偶然できる。そこは重力が強いので、どんどんダークマターが集まる。やがて、原子(ガス)もダークマターの重力に引かれて集まってくる。原子のみが互いに衝突するようになり、エネルギーを放出する。こうして原子は中心部へと落ち込んでいく。これが星や銀河のもとになるという。
いったい、ダークマターとは何なのか。ダークマターの存在が認識されるようになって以来、さまざまなダークマター候補があらわれ、そして脱落していった。
現在も、さまざまな方法で、ダークマターの正体を突き止める挑戦が行われている。
◆ダイジェスト・ダークエネルギー
現代の物理学には、ダークマターと並んで、もう1つの大きな謎が立ちはだかっている。
それが「ダークエネルギー」である。
1920年代後半、それまで永遠不変のものだと考えられていた宇宙が、実は膨張していることが発見された。
1998年、宇宙が加速膨張をしていることが初めて発見された。
◆2011年のノーベル物理学賞が、遠方の超新星観測により宇宙の加速的な膨張を発見した研究者3名に贈られることが発表された。
137億年前のビッグバン以来私たちの宇宙が膨張し続けていることは、1929年からわかっていたが、その膨張の勢いが宇宙に存在する物質の重力によって衰えるどころか、むしろ加速しているということを示したのが今回の受賞者たちの功績だ。
受賞者は、Saul Perlmutter氏、Brian P. Schmidt氏、Adam G. Riess氏の3名で、Schmidt氏とRiess氏は共同チームとしての受賞となる。
▼ノーベル物理学賞を受賞した3氏。左からPerlmutter氏、Schmidt氏、Riess氏。
●Saul Perlmutter
1959年、米・イリノイ州生。カリフォルニア大学バークレー校博士号。「超新星宇宙論計画」代表。ローレンス・バークレー国立研究所およびカリフォルニア大学バークレー校宇宙物理学教授
●Brian P. Schmidt
1967年、米・モンタナ州生。アメリカ・オーストラリア国籍。ハーバード大学博士号。「遠方超新星捜索チーム」代表。オーストラリア国立大学特等教授
●Adam G. Riess
1969年、米・ワシントンDC生。ハーバード大学博士号。ジョンズ・ホプキンズ大学および宇宙望遠鏡科学研究所宇宙物理学教授
この発見には、Ia型超新星と呼ばれる天体がかぎとなった。Ia型超新星とは、白色矮星と呼ばれる星の燃えかすのような高密度の天体が、核反応が暴走することで爆発して明るく見える天体だ。ピーク時の明るさがどれも同じであるため、地球からの見かけの明るさと比較することで距離を測定することができる。
求められた距離(光が届く時間がかかるので、遠くほど過去を見ることになる)と、天体が観測者から遠ざかるスピードが速いほど波長が長く伸びる「赤方偏移」の測定値を組み合わせることで、宇宙の時代ごとの膨張スピードがわかる。
3氏のチームは1998年、この原理を利用して、宇宙空間が加速的に膨張していることの観測的な証拠を見出した。もともとは膨張速度の衰えを計測するつもりで観測を行っていたので、この研究結果は当時衝撃的なものだった。
◆ダークエネルギーの斥力
宇宙が加速度的に膨張していることの説明として、物体同士を遠ざけ空間を広げる斥力(物質同士を引き合わせる「引力」とは反対に、物質同士を引き離す力)を生む「ダークエネルギー」が提唱されており、宇宙の全エネルギーの約4分の3を占めているとする説が現在主流である。
宇宙に存在するあらゆる物質の重力に逆らって、宇宙空間を外へ外へとどんどん膨張させていく力はいったい何なのか。
この宇宙空間を外側へとおし広げる斥力として「ダークエネルギー」の存在が提唱された。
ダークエネルギーがいったいどこからきたのか、どのような性質をもっているのかについて、確かなことはわかっていない。
その一方で、ダークエネルギーは宇宙の未来をにぎるカギとして注目されている。
ダークエネルギーの性質によって、宇宙の未来は大きく左右されることになると考えられているのだ。
◆宇宙の未来とダークエネルギー
ダークエネルギーの密度が、今後どのように変化するかによって、宇宙の未来は大きく変わってくる。
現在とかわらず、密度が一定のままであれば、宇宙はこれまでどおりの膨張をつづける。
しかし、密度が下がれば、宇宙は収縮に転ずるし、反対に密度が上がれば、宇宙は現在の加速膨張をはるかに凌ぐ勢いで膨張すると考えられる。
◆◆宇宙の観測
◆ドップラー効果
身近なドップラーに、救急車のサイレンがる。音源である救急車が近づくと、サイレンの音は高くなり、救急車が遠ざかると、サイレンの音は低く聞こえる。
これは、音源の移動によって、サイレンの音波の波長が変わるためである。
音源が観測者に近づくと、音波の波長は縮まって高温になる。一方、音源が観測舎から遠ざかると、音波の波長は引き延ばされて低音になる。この現象を「ドップラー効果」という。
ドップラー効果は、音波だけにみられる現象ではない。
光の波にも、この効果はあらわれる。
天体が観測舎(地球)に近づくと、天体から発せられる光の波長は短くなり、天体が遠ざかると、天体の波長は長くなる。
光の波長は色に対応している。
光の波長が短いほど青くなり(青色偏移)、波長が長いほど赤くなる。(赤色偏移)
天体の運動速度が大きいほど、波長の変化も大きくなる。
◆天体の運動は光の波長の変化(色の変化)を調べることでわかる。
天体から発せられる光の波長は、光源が地球に近づけば短くなる。波長が短くなれば青くなる。光源が地球から遠ざかっていれば、波長は長くなり、赤くなる。
この色の変化を調べることで、光源である天体が近づいているのか、遠ざかっているのか、またどれくらいの速度で運動しているのかなどの情報を得ることができる。
◆光の波長と観測領域
◆光=電磁波の種類
上の図は、波長によって異なる電磁波の姿を表したものである。
レントゲン写真を撮られるときに照射されるX線や、日焼けの原因となる紫外線は、可視光線よりも波長が短い。反対に、テレビのリモコンから出る赤外線や、携帯電話が情報の送受信するときに利用する電波は、可視光線よりも波長が長くなる。波長が長いほど、広がりやすい性質をもっており、すみずみまで届きやすいので、電波は通信や放送に利用される。また波長の短い電波ほどエネルギーは高くなるため、紫外線が皮膚にあたると日焼けをおこす。
◆可視光線
ふだん見ているのは、物から発せられた可視光線である。可視光線も電磁波の一種である。
X線、紫外線、赤外線、電波なども同じ電磁波であるが、これらはお互いに波長が異なる。
可視光線が占める波長領域は非常にせまい。
私たちが自分の目で見ることができるのは、電磁波の中でも、波長領域が狭い、この可視光線だけだ。
可視光線の波長領域は光全体の波長領域のごく一部である。
この世界には、見えていない光がたくさんある。
◆昔の宇宙は遠くの宇宙
光は有限の速さで進むため、到達するには時間がかかる。つまり、今現在、見えているものの姿は過去のものの姿ということになる。遠くにあるものほど、光が届くのに時間がかかる。
そばにあるものについて見えるために要する時間は超微々たるものであるが、桁違いに遠く離れている天体では、見えるために要する時間は大きい。このことから、より昔の宇宙の姿を知るには、より遠くの宇宙を観測すればよいことになる。
過ぎ去った昔の宇宙の姿をいったいどうやって見ることができるのだろうか。
実は普段見ているあらゆるものはすべて、過去の姿になる。
光の速さは、毎秒30万kmと非常に高速である。しかし無限ではなく、有限の速さである。
このため、光がある距離を進むときには、必ず時間がかかる。
30cm離れた先のものでも、光が届くのに10億分の1秒かかる。つまり、いま読んでいる文字も、過去の文字の姿が時間をかけて目に届いたものである。
見ているものとの距離が遠いほど、光が届くまでには時間がかかる。たとえば、太陽の光が地球に届くまで約8分かかる。つまり、今見えている太陽の姿は、8分前の太陽の姿である。
46億光年離れている銀河については、46億年かけて光が届く。つまり、今見えている姿は46億年前、だいたい地球が誕生して間もないころの姿である。
つまり、初期の宇宙を観測したければ、それだけ遠く離れた宇宙を観測すればよいということになる。
2016年7月22日に最新の観測ニュースが入ってきた。
◆127億歳の超古い銀河、重力レンズにより観測成功
:ハッブル望遠鏡
今でも膨張を続けているとされる「宇宙」。138億年前に誕生したこの私達のすみかは、今でもさまざまな神秘に満ちています。そしてその宇宙の膨大さを垣間見せるかのように、今回ハッブル宇宙望遠鏡は127億歳の古い銀河の光の観測に成功しました。
今回ESA(欧州宇宙機関)が同望遠鏡にて観測したのは「Abell S1063」という銀河団です。このAbell S1063自体は40億歳とそれほど古くはないのですが、この銀河団はその巨大な重力によって後ろから発せられた光を湾曲させる「重力レンズ効果」を生み出しています。
そしてその重力レンズ効果によりAbell S1063の後方で発見されたのが、127億歳という超古い銀河なのです。宇宙の誕生は約138億年前とされているので、この銀河は宇宙の誕生(ビッグバン)から約10億年後に誕生した相当な古株だということになります。
ESAは公式声明にて、「重力レンズ効果により、ハッブル宇宙望遠鏡は非常に弱い光を観測することに成功しました。それは、宇宙の非常に初期段階に誕生した銀河たちだったのです」と語っています。
今回の観測で発見されたのは16個の銀河で、その光は曲げられ、複数の像を作り出しています。またこの重力レンズ効果を研究することにより、今後は通常物質やダークマターの重力モデルについての解明が進むことが期待されています。
◆◆電磁波別天体観測
◆X線天体観測
X線やγ線で宇宙を見ると、ブラックホールやパルサーなどの高エネルギー天体を観測することができる。そのため、しばしば「高エネルギー天文学」とも呼ばれる。
X線は大気を透過しにくいため、大気圏外での衛星による観測が必要である。
▲かに星雲のX線画像 NASA/CXO提供
◆可視光天体観測
可視光は古くから観測できた唯一の波長帯なので、今までの天文学の知識のほとんどが可視光からの観測からきているといってよい。全ての天文学の基盤をなしている最も重要な波長帯での観測である。
可視光は大気の透過率が良いので、地上での観測が可能。そのため、「すばる望遠鏡」などの大型望遠鏡が地上に数多くある
▲すばる望遠鏡FOCASによる不規則銀河M82の可視光画像。星からの光に加えて、中心部から噴き出す水素ガスからの放射 (赤色) が見える。
◆赤外線天体観測
赤外線天文学は生成初期の宇宙の状態を知るための遠方の銀河系の観測において重要な役割を果たしている。100億光年を越える様な遠方の天体から届く光は赤方偏移により赤外線領域まで波長が引き延ばされてしまうためである。
地球上で赤外線の観測に適した場所としては、標高4205mのマウナケアやチリの標高5000mにある ALMA の建設場所、南極のドームCのような高地の氷原などがある。
しかし、最も理想的な観測場所は可視光望遠鏡と同様に宇宙空間であり、(ハッブル宇宙望遠鏡のような)宇宙に打ち上げられている光学望遠鏡のほとんどは赤外線観測も行うことができる。2003年に打ち上げられたスピッツァー宇宙望遠鏡や2006年に打ち上げられた「あかり」などは赤外線観測専用の望遠鏡である。
▲衝突する銀河の色鮮やかな合成画像。チャンドラX線観測衛星(青色部分)、ハッブル宇宙望遠鏡(金色と茶色)、スピッツァー宇宙望遠鏡(赤色)が捉えた画像を合成したもので、2010年8月5日にNASAの「大規模観測計画」が発表した。
◆電波天体観測
電波天文学は、電磁波を使って観測する天文学の一分野。対象とする電磁波の周波数帯によって、可視光による従来の天文観測、赤外線天文学、紫外線天文学、 X線天文学、ガンマ線天文学に分類されているが、波長が0.1mmより長い電磁波である電波を使って観測を行う。
天体からの電波は微弱であるため、観測は電波望遠鏡によって行われる。電波は波長が長いために星間物質による散乱を受けにくく、可視光では観測できない暗黒星雲の背後などを観測することが可能である。
1931年にカール・ジャンスキーが天の川からの電波を初めてとらえてから始まった。
極低温の分子ガスから数千万度を超える高温のプラズマまで多くの物体が電波を放射するので、電波天文学の対象は、分子が出す電波を使った星生成研究や銀河の研究、宇宙論の研究など多岐にわたる。
特に3Kの宇宙背景放射、パルサーの発見でノーベル賞が授与されている。また銀河中心のブラックホール発見などの成果をあげている。
◆◆電磁波以外の天体観測
◆ニュートリノ天文学
1987年大マゼラン星雲内で起きた超新星・SN 1987Aからのニュートリノを小柴 昌俊が自らが設計を指導・監督した「カミオカンデ」が検出。2002年にノーベル物理学賞を受賞した。
またスーパーカミオカンデで、素粒子「ニュートリノ」が質量を持つことを示す「ニュートリノ振動の発見」で梶田隆章が2015年ノーベル賞を受賞した。
▲「スーパーカミオカンデ」は1991年12月に着工。総工費約90億円をかけて、岐阜県飛驒市に1995年に完成した。
◆重力波天文学
重力波天文学は、天文学の一分野である。アインシュタインによる一般相対性理論のアインシュタイン方程式から予言される重力波を観測しようと試みている。
1974年に,アメリカの電波天文学者ハルスとその学生だったテイラーは,偶然,連星をなす中性子星を発見した。太陽程度の質量をもつ2つの中性子星が9時間弱で周回するこの連星は,一般相対性理論をテストする良い実験場となった。長期間の観測から,連星同士がエネルギーを失いながら次第に近づいていく様子がわかった。このエネルギー損失分は,一般相対性理論の計算によって,重力波として周囲に広がっていった分と一致している。こうして,重力波が存在していることが,(間接的にだが)初めて報告されることになった。ハルスとテイラーは,93年にノーベル物理学賞を受賞した。
アメリカのグループが、2016年2月に、ブラックホール連星からの重力波信号を初めて観測することに成功した、と発表したことにより、理論が予言して100年後にようやく本格的な天文学として幕開けした。
▲2016年2月、2つのブラックホールが合体する際に発生した重力波が検出された。図はブラックホールの合体のシミュレーション画像。ブラックホールがお互いを飲み込む直前には、それ以外の宇宙全体よりも大きなエネルギーを放出する。(ILLUSTRATION BY SXS COLLABORATION)