【宇宙の神秘】 「ALMA望遠鏡」とその観測成果 第1部
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◆ALMA望遠鏡
ALMA望遠鏡(正式には、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計:Atacama Large Millimeter/submillimeter Array =『ALMA』)は、南米のチリ共和国北部にある、アタカマ砂漠の標高約5000メートルの高原に建設された。アタカマ砂漠は年間降水量が100ミリ以下でほぼ年中晴天なこと、さらに標高が高いため水蒸気による電波吸収の影響を受けにくいことなどから、比較的短い波長(高い周波数)の電波でも観測可能で、アルマ望遠鏡の観測波長域となるサブミリ波もとらえることができる。また、土地も広く平坦なため、たくさんの望遠鏡の建設に適している。
2002年から建設が始まり、2013年3月13日に完成記念式典が行われた。2014年6月に全てのアンテナが到着した。
略称のALMA(アルマ)とは、スペイン語で「魂」や「いとしい人」を意味する単語である。
◆ALMA望遠鏡の建設と運用
1980年代に日本天文学会の天体電波研究委員会とアメリカ天文学会の天体電波研究連合が相互別々に精度の高い天体電波研究に関する次世代計画のコンセプトを作り上げた。
アメリカ国立電波天文台では、口径10mアンテナ50台のミリ波干渉計による観測計画と設置場所としてチリのアタカマ高原を提案。アメリカ国立電波天文台では、ヨーロッパ(ヨーロッパ南天天文台:ESO)のチームとカナダの研究者も参加。日本の国立天文台では、口径8mのアンテナ40台のサブミリ波干渉計による観測計画を提案した(これは、1990年代に野辺山宇宙電波観測所にて石黒正人教授らが作成した基本構想である)。
▲アルマ望遠鏡建設地
◆北米、ヨーロッパ、日本の学術機関に所属する技術者及び研究者が国際学会での議論やプロポーザルを実施。1990年代後半には、技術仕様を初めとして設置場所を含めて計画としてまとまった。
各国の研究者チームは、それぞれ自国の政府に対して建設予算の要求を実施。参加各国の中央天文台では第三者評価を行い、それを下にして財務当局及び立法府へ提案を実施。最終的には各国政府の合意によって現在の計画となるに至った。なお、2001年に計画承認が行われたのはNRAO・ESO。日本は、所轄官庁である文部科学省では調印が2001年。国会承認については行政改革などの様々な事情により遅れたため、最終計画承認は2004年となってしまい、本格的な参加に出遅れている。
装置開発においても、観測機器開発においても、運営計画においても各国が不平等にならないようにするためにALMA合同オフィスをチリに設置。そこに各国の技術者及び研究者が常勤もしくは非常勤で参加し、現在も準備を進めている。
◆2004年から装置開発においてはアメリカ国立電波天文台のアリゾナサイトで、国立天文台・アメリカ国立電波天文台・ヨーロッパ南天天文台が開発した口径12mパラボラアンテナのテストをそれぞれ実施した。この実験は2007年で終了。各望遠鏡に基づいて製作した望遠鏡を運用予定順に現地に搬入を実施している。
▲google earthで見たアロマベース基地
◆日本の担当するアンテナ本体は三菱電機が、受信機は国立天文台が自前で、そして相関器は富士通が製作しており、ACA用の12mサイズのアンテナ16台のうち4台が2008年に調整を終了している。2011年に全ての観測機器が揃って試験観測を実施し、2012年から本格運用が開始される予定である。
◆2008年3月18日には日本が担当するパラボラアンテナの1台を用いて試験観測中に撮影した月の電波写真を公開した。
◆2008年12月19日、日本の製作したACA用の12mアンテナがALMAの第1号アンテナとして観測所に引き渡された。
◆2009年11月20日、ALMA観測所にとって3台目となるアンテナが無事に山頂施設(標高5,000メートル)に設置され、複雑な技術試験終了後、天文学者と技術者たちは結合された直径12メートルのアンテナ3台すべてを使って天体からの最初の信号を観測することに成功した。
◆2011年9月30日にアンテナ16台での初期科学運用が始まった。
▲山頂施設の16台のアンテナ (国立天文台提供)
◆2013年3月13日、66基のアンテナのうち59基が可動を始め、開所式が催された。
◆2014年6月16日、アルマ望遠鏡最後のアンテナが山頂施設に到着。この最後のアンテナは、欧州によって開発された直径12mアンテナで、すでに山頂施設に運ばれている欧州製の24台の12mアンテナ、北米製の25台の12mアンテナ、そして日本が開発した16台のアンテナ(直径12mが4台、7mが12台)に合流した 。
▲アタカマ砂漠の標高約5000メートルの高原に建設されたALMA望遠鏡群
◆ミリ波とサブミリ波
電磁波は波長でその呼び方が変わってくる。私達の目に見える光も「可視光」と呼ばれる電磁波の一種である。
最も赤外線よりの電波(波長が短い電波)を「サブミリ波」と呼び(波長は1ミリから0.1ミリ、周波数は300ギガヘルツ-3テラヘルツ)、次に波長が短い電波は「ミリ波」と呼ぶ(波長は10ミリから1ミリ、周波数は30ギガヘルツ-300ギガヘルツ)。ちなみに、すばる望遠鏡が観測するのは可視光と赤外線である。
宇宙空間にある塵やガスはとても冷たく、光や近赤外線を放射しないため、その姿を光の望遠鏡で見ることはできない。しかし、冷たい塵やガスはミリ波やサブミリ波を放射するため、電波の望遠鏡で暗黒の宇宙の姿を見ることができるのだ。
今までは、技術的な困難と空気中の水蒸気の吸収により、サブミリ波での本格的な観測は進んでいなかったが、アルマ望遠鏡の建設でそれが可能になった。
▼ミリ波とサブミリ波の波長領域
パラボラアンテナ66台を組み合わせる干渉計方式の巨大電波望遠鏡で、直径12メートルのアンテナを50台組み合わせるアンテナ群と、直径12メートルのアンテナ4台と直径7メートルアンテナ12台からなる「アタカマコンパクトアレイ (ACA)」で構成され、分解能はハッブル宇宙望遠鏡の約10倍になるという。
ちなみに、日本は「ACA」を構成する直径12メートルのアンテナ4台と直径7メートルアンテナ12台、サブミリ波を中心とする3種類の受信機、相関器など設置を担当し、「ACA」は「いざよい」という愛称が名付けられている。
アンテナは全て移動可能なタイプである。アンテナを動かして、それらの間隔を最大18.5キロメートルまで広げることで、直径18.5キロメートルの電波望遠鏡に相当する空間分解能(=視力)を得ることができ、ミリ波・サブミリ波領域では世界最高の感度と分解能を備えた望遠鏡となる。
◆なぜパラボラアンテナは66台も必要なのか?
遠くをはっきりと見るためには、望遠鏡の直径をどんどん大きくする必要がある。
望遠鏡の直径を大きくすれば、観測する対象を細かく捉えることができる。しかしながら、1台の望遠鏡の大きさには限度があり、例えば直径1キロメートル以上の電波望遠鏡を作ることはほとんど不可能である。
では、もっと遠くの宇宙を、もっと細かく観察するにはどうしたら良いのだろうか。
答えは、イギリスのライルが開拓しノーベル賞を受賞した「電波干渉計による開口合成法」の仕組みを使うことである。巨大な1つの電波望遠鏡を作るのではなく、いくつかの電波望遠鏡の観測データを組み合わせ、望遠鏡間の距離を直径とする仮想的な1つの望遠鏡とする方法である。
電波干渉計では、望遠鏡(アンテナ)の距離を離せば離すほど、細かい部分が分かるようになる。しかしながら、たった2台の望遠鏡だけでは、観測した天体の構造を描くことはできない。電波干渉計で、きれいな天体画像を得るためには、離れた望遠鏡間の隙間も埋めるように望遠鏡を配置する必要があり、そのためにはどうしても多くの台数が必要になる。アルマ計画では、最大16キロメートルの範囲に66台の電波望遠鏡を配置することで、宇宙の非常に細かい部分をスピーディーに観測出来るようになっている。
▲標高5000mのアルマ望遠鏡山頂施設に並ぶパラボラアンテナが、遠方宇宙にあるサブミリ波銀河LESS J0332を観測している様子(イメージ図)。 [ 画像クレジット:国立天文台 ]
◆ALMA望遠鏡に期待されるもの
宇宙誕生後8億年後までは、すばる望遠鏡でも見ることが出来るが、それより過去にさかのぼろうとすると、赤方偏移の効果で光学望遠鏡では見ることが次第に難しくなる。しかし、赤方偏移の効果により逆にミリ波やサブミリ波で銀河などは明るくなること、銀河自身が含む塵がミリ波サブミリ波を放射することなどから、アルマ望遠鏡なら宇宙の暗黒時代直後の銀河の誕生を見ることが出来ると期待されている。暗黒時代直後の銀河の成り立ちへの手がかりを、アルマ望遠鏡がとらえることが期待されている。(ALMA国立天文台)
◆◇◆ALMA望遠鏡の観測成果
◆【2012年6月12日】
124億光年彼方の銀河の「成分調査」~アルマ望遠鏡で迫る進化途上の銀河の正体~
京都大学およびケンブリッジ大学を中心とする国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて124億光年彼方の「サブミリ波銀河」と呼ばれる種類の銀河を観測し、この銀河に含まれる窒素が放射する電波を検出することに成功した。
▲サブミリ波銀河LESS J0332イメージ図 [ 画像クレジット:国立天文台 ]
サブミリ波銀河とは、進化途上にあり激しい星形成活動を起こしている種類の銀河で、可視光を遮る大量の塵に覆われているためにすばる望遠鏡などの光学望遠鏡では詳細な観測が困難だった。アルマ望遠鏡は、大量の塵にも遮られることのないミリ波での観測が可能であり、かつ微かな電波をもキャッチできる驚異的な感度を持っている。このアルマ望遠鏡の特徴を活かして検出した電波の性質をモデル計算と比較することで、宇宙誕生後わずか13億年しかたっていない初期宇宙にあるこの銀河での元素組成が、すでに現在の宇宙の元素組成に近いことが明らかになった。
この結果は、初期宇宙において、激しい星形成活動が起こったことを物語っている。
◆【2012年8月29日】
アルマ望遠鏡、赤ちゃん星のまわりに生命の構成要素を発見
デンマーク、ニールス・ボーア研究所のジェス・ジョーゲンセン氏らの研究チームは、アルマ望遠鏡を使った観測により、若い太陽のような星のまわりに糖類分子を発見した。このような星のまわりに糖類分子が見つかったのは初めてのことである。この発見は、生命の構成要素となるような物質がこれから作られる惑星に取り込まれていくうえで適切な場所、適切な時期に確かに存在していることを示している。
研究グループが見つけたのはグリコールアルデヒドという物質で、糖類の中では最も単純な構造をしています。グリコールアルデヒドが見つかったのは、IRAS 16293-2422という名前の、太陽と同じくらいの質量の星ふたつからなる連星系である。グリコールアルデヒドそのものはこれまでにも宇宙で発見されていたが、これから惑星が作られていくような若い星のまわりで見つかったのは今回が初めてのことである。グリコールアルデヒドが見つかった場所は、中心の星からの距離が太陽系では天王星の軌道(28億7000万km)ほどの距離のところ。そこはまさに惑星がこれから作られていく場所であり、そのような場所に生命の構成要素となるような物質が発見されたことは大きな意味を持つ。
▲WISEによる赤外線画像とグリコールアルデヒド分子のイメージイラスト Credit: ESO/L. Calçada & NASA/JPL-Caltech/WISE Team
この画像は、NASAの赤外線観測衛星WISEが撮影した、へびつかい座ロー星領域。
IRAS 16293-2422は図中に示した四角の中央に位置する赤い天体。
◆【2013年3月14日】
<アルマ望遠鏡が書き換える、星のベビーブーム史>
重力レンズ越しに見るスターバースト銀河と観測史上最も遠い銀河での水の検出
研究の経緯
国際研究チームは、まず米国国立科学財団の直径10m南極点望遠鏡を用いて非常に遠方にある謎に満ちたスターバースト銀河を発見し、次にアルマ望遠鏡を使ってこれらの天体をより詳しく観測し、宇宙初期の星のベビーブームについて調べました。驚いたことに、これらの銀河は考えられていたよりも遠い距離にありました。宇宙がビッグバンで始まってからわずかに約20億年、つまり今から約120億年も前に、非常に活発に星を作る銀河が存在したことになります。これはこれまで考えられていたより10億年も昔に相当します。
今回観測された銀河のうちのふたつは、スターバースト銀河としては観測史上の最遠記録を塗り替えるものでした。その天体からの電波は、宇宙がまだ10億歳だった頃に放たれたものということになります。さらに、そのうちのひとつの銀河からは水分子が放つ電波も検出されました。水分子が検出された天体としては、これが観測史上最遠の天体となります。
▲図1.5つの遠方銀河について、ハッブル宇宙望遠鏡でとらえた可視光画像とアルマ望遠鏡でとらえた電波画像(赤)を重ね合わせたもの。アルマ望遠鏡の画像では、遠くの銀河が手前の銀河の重力レンズ効果によってゆがんでいることがわかる。
Credit: ALMA (ESO/NRAO/NAOJ), Y. Hezaveh et al
アルマ望遠鏡による観測
また研究チームは、アルマ望遠鏡の比類なき感度を最大限に活かし、26個のスターバースト銀河から波長3mmの電波をキャッチすることに成功しました。銀河に含まれる分子ガスはそれぞれの分子に特有の波長の電波を出しますが、宇宙が膨張しているためにその電波の波長は引き伸ばされます。どれくらい波長が引き伸ばされたかを精密に測定することによって、私たちはその電波がどれくらい長い時間宇宙を飛んできたか、つまり宇宙の歴史の中でどの時点に存在した銀河から出てきた電波であるかを知ることができるのです。今回の観測から、発見された26個の銀河までの距離約100億光年から126億光年であるということがわかりました。
「高い感度と幅広い受信帯域を持つアルマ望遠鏡を使えば、わずか数分で非常に遠方にある銀河からの電波をとらえることができます。これはこれまでの観測装置に比べて約100倍も速いのです。以前であれば、このような研究には可視光観測と電波観測のデータを比較・合成する大変な労力が必要だったのです。」と、研究グループの一員でこれらの銀河までの距離を測定したアクセル・ヴァイス氏(ドイツ、マックスプランク電波天文学研究所)はアルマ望遠鏡の強みについてこのように語りました。
今回の研究に用いられたデータは、アルマ望遠鏡の全66台のアンテナのうち16台を使って取得されたものでした。このときアルマ望遠鏡は建設作業と科学観測が並行して行われていましたが、全66台のアンテナがそろえば感度はさらに向上し、より微弱な電波しか出さない銀河も観測することが可能になります。現在研究者たちは比較的電波の強い天体にターゲットを絞っていますが、「天然の望遠鏡」ともいえる重力レンズ効果も活用しています。
▲図2. 重力レンズの模式図。
遠くにある銀河(background galaxy)から出た電波が手前の銀河(foreground galaxy)の重力によって曲げられていることを示している。手前の銀河の重力がレンズのような働きをすることで、アインシュタインリングのような特徴的な構造ができる。
Credit: ALMA (ESO/NRAO/NAOJ), L. Calçada (ESO), Y. Hezaveh et al.
◆【2013年11月22日】
アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で迫る
宇宙初期の巨大天体ヒミコ
アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡という世界最高性能の望遠鏡を使って、宇宙初期の巨大天体ヒミコの謎に満ちた姿が明らかになりました。きわめて原始的な特徴を持つ3つの天体が、まさに合体してさらに大きな天体を形作ろうとしていたのです。今回の観測結果は、宇宙が星々の光で満たされ始めた「宇宙の夜明け」と呼ばれる時代において、銀河が作られる最初の過程を明らかにする上で重要な知見を与えました。
図1.可視光・赤外線で観測された巨大天体ヒミコ。左の画像はハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたもので、中央の四角の中にヒミコが写しだされています。右上はその拡大画像で、紫色から青色をした3つの星の集団が左右に並んでいます。最も左側の星の集団は極めて青く、この色は原始ガスからなる星々の色と似ています。右下はすばる望遠鏡(青)、ハッブル宇宙望遠鏡(緑)、スピッツァー宇宙望遠鏡(赤)で観測されたヒミコのカラー画像。赤色は熱く輝く水素ガス雲で、55,000光年にも広がっています。
Credit: NASA/ESA/NAOJ/東京大学(大内正己)
図2. 今回の観測をもとに描いた、巨大天体ヒミコの想像図。原始的なガスが渦巻く中で、3つの星の集団が作られています。 Credit: 国立天文台
◆【2014年6月12日】
塵の向こうの巨大爆発:
アルマ望遠鏡で探るガンマ線バーストの発生環境
アルマ望遠鏡によって、宇宙最大級の爆発現象「ガンマ線バースト」が発生した銀河に、世界で初めて分子ガスからの電波が検出されました。さらに今回観測したガンマ線バーストが、驚くほど塵の多い環境で発生したこともわかりました。
国立天文台チリ観測所特任助教の廿日出文洋氏が率いる研究チームは、ガンマ線バーストGRB 020819B(距離は約43億光年)とGRB 051022(距離は約69億光年)が属する2つの銀河をアルマ望遠鏡で観測しました。これまでガンマ線バーストが発生した銀河で分子ガスからの電波が検出されたことはありません。今回、高感度を誇るアルマ望遠鏡によって世界で初めて検出に成功しました。
画像1:GRB 020819Bの母銀河の観測結果
左と中央はアルマ望遠鏡による観測結果で、分子ガスが放つ電波の強度分布(左)と塵が放つ電波の強度分布(中央)の図。右はジェミニ北望遠鏡による可視光観測画像。画像中央上にある十字がガンマ線バーストの発生位置を示しています。
クレジット:廿日出文洋(国立天文台)/
ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/Gemini Observatory
またアルマ望遠鏡の高い解像度(視力)により、GRB 020819Bが属する銀河では分子ガスと塵の分布が大きく異なることがわかりました。分子ガスは銀河の中心に多く分布しており、塵はガンマ線バーストが発生した場所に多く存在していたのです。そしてガンマ線バーストが発生した場所では、分子ガスに対する塵の量が通常の環境よりも10倍以上多くなっていました。ガンマ線バーストが発生した銀河における分子ガスと塵の空間分布を明らかにしたのも本研究が初めてです。
解説動画:ガンマ線バーストの周辺環境の想像図 (CG映像, 1分17秒)
今回の観測成果から研究チームが推測した、GRB 020819Bの周囲の様子。うお座にある銀河の腕の中でガンマ線バーストが発生しました。ガンマ線バーストは高速ジェットを噴き出す星の大爆発であり、ジェットは私たちの方向を向いています。アルマ望遠鏡による観測から、このガンマ線バーストが起こった場所では分子ガスが少なく、塵が多いことがわかりました。この種のガンマ線バーストが活発な星形成領域で起こることと合わせ、今回の観測結果について、研究チームでは生まれたばかりの大質量星が発する強烈な紫外光によって分子ガスが壊されたためと解釈しています。
Credit: 国立天文台 / Gemini Observatory
画像2:ガンマ線バーストの周辺環境(想像図)
Credit: 国立天文台