コパン遺跡 (8) グランプラザのステラ(石碑)群
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2010年4月27日(火)
【コパン遺跡】
コパン遺跡は、マヤの主な遺跡の中で最南端に位置し、石碑や祭壇、神殿の階段などに数多くの華麗な装飾を残している。この地域は紀元前1400年ごろから定住が始まるが、紀元426年ヤシュ・クック・モを初代にマヤ王朝が興り、820年頃まで約400年間に渡り、祭壇Qに描かれている16人の王が支配した。
最盛期は、13代目ワシャック・ラフン・ウバク・カウィール、通称「18ウサギ王」の時代で、紀元695年に即位した王は、周囲の衛星都市を従えて権勢を誇り、グラン・プラザを中心として数々のステラ(石碑)・アルター(祭壇)を建てた。この当時、人口は3万人以上を数えたという。
また、コパンでは天文学が発達し、古代マヤの科学センターとして機能し、
7世紀にコパンの神官は、1年が365.2420日とする算出方法を導入し、ほかのマヤ都市に広めている。現在世界で使われているグレゴリオ暦(16世紀ユリウス暦から順次移行)の1年の日数は365.2425だから、驚異的な精度である。
「18ウサギ王」の時代に絶頂期を迎えたコパンだが、同じ王の時期に衰退が始まる。コパンの衛星都市として長く隷属していたキリグアは、カック・ティリウ「嵐の空王」の時代の738年にコパンを攻撃し、「18ウサギ王」は殺害されてしまう。
キリグアとの戦争の結果、モタグア川流域における覇権を失ったコパンは急速に衰え始める。
第15代の王カック・イピヤフ・チャン・カウィールは<神聖文字の階段>を建設しコパンの復興を試みるが、衰退は進み、また第16代王のヤシュ・パサフは<アルターQ>と呼ばれる祭壇をつくり自身の正当性を示すが、この 第16 代王が事実上コパン王朝の最後の王となっている。
英知と繁栄を誇ったコパン王朝は、9世紀初頭にマヤ史から忽然と消え去ってしまった。
コパンのマヤの都市は9世紀にそのまま放棄され、その後は密林に眠っていた。それが1570年に発見され、1885年から本格的な学術調査が始まった。総面積24k㎡のうち、現在発掘されたのは16k㎡にすぎないが、それでも4500以上の遺構が見つかっている。1980年にユネスコの世界遺産に登録された。
【コパン遺跡】最終回
①入り口 ②西広場 ③居住区と墓地 ④東広場と「ロサリラ・トンネル」
⑤アクロポリス ⑥神聖文字の階段 ⑦球戯場 ⑧グランプラサ(大広場)
▼コパン遺跡の見学ルート (Map from 地球の歩き方)
【グランプラザ】
基壇の残るピラミッドを中心にする広大な広場で、北側にコパン芸術の粋を凝縮したステラが林立している。
林立する12のステラのうち5体が第13代18ウサギ王治世下の作品で、なかでもステラAとステラBは、優美な装飾が施された最高傑作といわれている。
695年に即位した18ウサギ王はコパン最盛期に君臨した王の中の王『神聖王』であると同時に、738年、キリグアのカック・ティリウに捕えられて処刑され、コパン衰退の遠因を作った人物でもある。
「18ウサギ王」という名称は、この王の石碑に「18」という数字と「ウサギ」が描かれていたことからきている。
▼グランプラザ
◆ステラA
神官の格好をしたウサギ王の石碑で、ステラAに刻まれた日付は西暦731年。
コパン遺跡のステラは、キリグア遺跡にあるものと違い、「高浮彫り」と言われる技法により非常に立体感にあふれている造形になっている。これはレプリカでホンモノはマヤ考古学博物館に展示してある。
裏面にはコパン、ティカル、カラクムル、パレンケの紋章が見られる。
◆ステラB
これも18ウサギ王の石碑で、「とうもろこしの神」の姿をしたウサギ王。
頭の上に太陽のシンボルであるコンゴウインコの装飾、手には人身供養の道具を持った姿。背面の記録などから732年に建造されたという。
ステラBは素晴らしい傑作。これは必見の価値あり。
▼王が両手に持つのは、王の権威を示す儀杖で、その両側から蛇が出てきており、その蛇の口から顔を覗かせているものが、王の守護神。
▼石碑Bの側面に刻まれた「第13代18ウサギ王」のマヤ文字。
このうち、左中央部に10をあらわす二重線(=)と3をあらわす点(…)が刻まれており、13という数字を表している。また左下部に三重線と点(…)があるが、これで18と読む。すなわち、ここには、「第13代18ウサギ王」の名前が書かれているという。
▼ステラBの背面の装飾
山や丘を象徴する怪獣ウィッツ・モンスターらしき姿も・・・
◆ステラC
18ウサギ王の「老い」と「若さ」が両面に彫られている。東の面は生(朝)、西の面は死(夜)。
この写真は年老いた18ウサギ王の「老い」の姿。711年建立。
石碑には、本来漆喰が塗られ、その上に赤い色が塗られていたが、この石碑にはその色が淡く残っている。また、グラン・プラザの地面には現在芝生が植えられているが、もともとは白い漆喰が地面を覆っていたという。
◆ステラD
これも第13代18ウサギ王の石碑。祭壇もある。
◆ステラ4と亀石
球戯者の姿をした18ウサギ王
▼Alter Y(祭壇Y) 亀の獣形祭壇
これでホンジュラスの世界遺産コパン遺跡の観光が終了。
印象に残ったのは、16人の王が刻まれた祭壇Qと神聖文字の階段ピラミッドとグラン・プラザのステラBの「第13代18ウサギ王」の高浮彫りの石像。もう1つは発掘作業で16号神殿の地下に掘られた「ロサリラ・トンネル」の内部見学でしょうか。
とにかく快晴の天気の下で世界遺産コパン遺跡を十分に見学できてよかったでごわす。