アルメニア (30) 世界遺産・ズヴァルトノツと地震と原発
|
アルメニア 2011年5月6日(金) <コーカサス3ヶ国の旅> 8日目
【アルメニアの首都エレヴァンとその近郊】
①アララト山 ②ホルヴィラップ修道院 ③共和国広場と歴史博物館
④レストランELENで昼食 ⑤リプシマ教会 ⑥エチミアジン大聖堂 ⑦ズヴァルトノツ
▼世界遺産・ズヴァルトノツ

◆アルメニアの旅のハイライトの1つであるアララト山の姿を堪能したあと、ホルヴィラップ修道院に向かう。ホルヴィラップ修道院は、エレヴァンの南、40km地点にあり、トルコとの国境に近い小さな丘の上にある。丘の上に歩いて登り、ホルヴィラップ修道院を見学する。
ホルヴィラップ修道院の見学のあとエレヴァン市内に戻り、共和国広場に面して建つ歴史博物館を見学。
アルメニア歴史博物館見学を終わり、共和国広場の近くのアルメニア料理のレストランELENで昼食。
昼食後、30分程専用バスで走り、エチミアジンの世界遺産・リプシマ教会を訪問。
次に5分程走り、世界最古の教会エチミアジン大聖堂に到着。
モダンなエントランスのゲートから入り、広大な敷地に点在する建物を眺めながらエチミアジン大聖堂へ。
世界遺産エチミアジン大聖堂と併設の博物館(宝物館)をじっくり見学。
見学が終わったのが17時。次に聖堂から10分のところにあるズヴァルトノツに向かう。
アルメニアの天気は変わりやすく、この頃には小雨がぽつぽつ降ってきた。

◆◆世界遺産・ズヴァルトノツ(ZVARTNOTS)
元々は「聖グリゴル・ルサヴォリチ(グレゴリオス)大聖堂」と呼ばれ、7世紀にカトリコス・ネルセス3世によって建てられた。当時は45mもの高さがあり、「天使の大聖堂」と呼ばれる立派で荘厳な教会だったそうだ。
10世紀に地震によって倒壊し、20世紀初頭まで埋もれていた。現在は円形に並んだ列柱が立ち並ぶのみ。カトリコスの宮殿やワイナリーの跡だけが残されているが、大聖堂の原型はほとんど残っていない。
エレヴァンのズヴァルトノツ国際空港は、この遺跡の名を冠している。
▼世界遺産・ズヴァルトノツ①

▼世界遺産・ズヴァルトノツ②

▼世界遺産・ズヴァルトノツ③

▼世界遺産・ズヴァルトノツ④

▼世界遺産・ズヴァルトノツ⑤

▼世界遺産・ズヴァルトノツ⑥

▼世界遺産・ズヴァルトノツ⑦

▼世界遺産・ズヴァルトノツ⑧

◆◇◆アルメニアの地震と原発
世界遺産・ズヴァルトノツは10世紀に地震によって倒壊した。
1988年12月7日にもアルメニアの第二の都市レニナカン(現、ギュムリ)市から東方50kmの地点で、マグニチュード6.9(震源の深さは3km)の地震(スピタク大地震)が発生した。
死者約2万5000人、約40万人が家を失った。地震発生時、震源地から約90km(エレヴァンから西に約30km)のメツァモール村にある原子力発電所の1号機と2号機は運転中だったが、不幸中の幸いで大した被害はなく、その後も正常な運転を継続していた。
しかし、同発電所は1986年のチェルノブイリ原発事故以降、住民の反対運動や閉鎖論の高まりによって旧ソ連の閣僚会議の政治的判断によって運転停止が検討されていたが、大地震を機にメツァモール原発の1号機を1989年2月25日に、同2号機を同年3月18日に運転停止にすることを決定した。

自国に資源をもたず、利用できる国境もかぎられているアルメニアにとって、原発がないなかでの電力確保はきわめて困難な問題だった。6年半にもわたり、アルメニア人は極度の電力不足の状況を耐え抜いた。
そして、フランスのフラマトム社が1992年末に運転再開の可能性調査を行い、その結果を受けて、アルメニア政府は1993年4月、正式にメツァモール原発2号機の運転再開の方針を決定し、米・ベクテル社、仏・フラマトム社、露・エネルゴアトム社などから技術支援を得て、1995年11月に運転を再開した。

こうして、メツァモール原発2号機は、2007年には25億5,000万kWhを発電し、総発電電力量に占める原子力発電のシェアは43%となった。アルメニアのエネルギー政策において、きわめて重要な位置を占めるようになっている。老朽化した原子炉一基に国家のエネルギーの半分近くを依存する国はほかに例がないという。

アルメニアは現在、新世代の大規模なロシア型軽水炉「VVER 1000」を50億ドル(約4200億円)かけて着工する計画を進めており、2009年にロシアとアルメニアのあいだでジョイントベンチャーが設立され、50億ドルを見越した同プロジェクトの「技術財政協力」について2010年8月に両国政府が合意した。
なお、2010年11月に、米国政府が同国企業の同プロジェクトへの参加についての関心を表明している。2017年までに国際基準を満たしたかたちで新原発を完成させるとしている。VVER 1000は格納容器を備えているが、建設予定地が地震多発地帯であるため、福島第一原発事故を受け、反対論が強まっているようだ。

英「インディペンデント・オン・サンデー」紙が、福島第一原発事故後に行った調査にもとづき、世界に442カ所ある原発のうち10カ所が、地震によって放射性物質をだす事故を起こす危険性が高いことを発表したが、メツァモール原発も含まれていたことも、周辺国の危機感を強めることになった。現在、同原発が世界でもっとも危険であるという論調もナショナル・ジオグラフィックはじめ、世界の複数メディアでみられた。
参照・抜粋 【世界でもっとも危険な原発、アルメニア原発 廣瀬陽子】













