芦田 英次さんの写真展のお知らせ
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第22回酒田市土門拳文化賞受賞作品展
『野生魂』最後の記録
新宿 Nikon Salon
2016年6月14日 (火) ~6月27日 (月)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
大阪 Nikon Salon
2016年8月11日 (木) ~8月17日 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
【写真展内容】
エチオピア南部奥地、高度2,000メートル超の深い森の中に、古代から野生のままで、独自の風習を貫き、原始生活を続ける少数民族がいる。
2009年、彼らの生きざまをルポルタージュしようと作者は奥地に入った。
初めて取材して作者は驚いた。強固な肉体と、他人を全く寄せ付けないアイデンティティを持ち続けて、現代まで孤高のままで生きて来ていた。「モノ」は全く持たず、自然に溶け込んで強い生命力を維持していた。
「モノに溢れ」便利さだけにすがって生きている現代人のひ弱さに強い違和感を持ち、大いに感動した。そして5年間、作者は取材を続けた。
ところが、11年頃から様相が一変した。
アフリカ縦断道路が貫通し、同時に電気が入った。文明開化が急激に進み、生活革命が起こった。全く想定外の周囲の変化の中で、これまでの野生の生きざまの記録は、今や社会進化の貴重な証拠であり、記録となったと作者は思っている。
本展では、作品を、Ⅰ)決斗儀礼(ドゥンガ祭)、Ⅱ)牛との共生、Ⅲ)ウーマンパワー、Ⅳ)文明化の大波の4章に再編集してまとめている。
カラー30点。
【選考委員講評】
東アフリカ・エチオピア南部奥地に住み、自然との共生を続ける少数民族の記録写真。
芦田さんの組写真には一枚としてブレがない。歴史性、社会性、ドラマ性といい精神性の高さに優れている。「決斗儀礼(ドゥンガ祭)」「牛との共生」「ウーマンパワー」「文明化の大波」の4章に30枚の組写真を分類し、組写真でしか表現できない効果を知り尽くしている。モチーフの捉え方とその表現には、生きた社会的な憤り、写真を撮る精神が伝わってくる。
写真とは何か?「記録であり、リアリズム写真である」という師・土門拳の精神を引き継いでいる。五年間の臨場感ある写真を15ミリから80ミリのズームレンズ一本だけで作り上げているのも驚きである。
これらの写真群は現代文明人へのアンチテーゼに他ならない。 (藤森 武)
芦田 英次(アシダ エイジ)
1934年京都府京都市生まれ。56年立命館大学経済学部卒業。在学中は写真部に所属し、関西学生写真連盟で活躍。1957年に写真を中断し、99年から写真活動を再開。
写真展(個展)に、2001年「芦田英次入選作品展」(京都)、03年「旧市街三都物語」(京都、名古屋)、05年「ベルベルと言われる人々」(大阪、京都)、06年「変身劇場・ベネチア仮面祭」(大阪、京都)、07年「海の住人、森の住人」(大阪、京都)、12年「野生魂」(東京、京都)がある。
受賞歴に、57年「アサヒカメラ」誌(色彩写真賞次点)、二科展(11年会友推挙、入賞2回、入選6回、関西二科賞、会友努力賞)、JPS展(入選6回)、JPA展(入賞2回、入選2回)、APA公募展(入選2回)、国際写真サロン(入選3回)、ニッコールフォトコンテスト(特選1回、準特選1回、入選2回)、その他コンテスト入賞、入選多数。
立命館大学写真部OB会に所属し同会会長を務める。そのほか、二科会写真部会友、京都丹平クラブに所属。