【スピッツァー赤外線宇宙望遠鏡】 観測装置と観測成果
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▼スピッツァー赤外線宇宙望遠鏡


▲2003年8月にデルタロケットにより打ち上げ
この宇宙望遠鏡は他の多くの人工衛星とは異なり、地球を追いかける形で太陽を回る軌道を取っている。
またこの望遠鏡は、ハッブル宇宙望遠鏡、コンプトンガンマ線観測衛星、X線観測衛星チャンドラとならび、大規模観測計画(Great Observatories program)のうちの1機である。

望遠鏡の名前の由来となっているのは、1940年代にはじめて宇宙望遠鏡の提案を行ったライマン・スピッツァー Jr.博士である。
観測装置
軽量ベリリウムで構成された反射望遠鏡を搭載しており、高精度の赤外線観測のために液体ヘリウムを用いて5.5ケルビンまで冷却していた。
◆IRAC (InfraRed Array Camera)

4波長 (3.6 µm, 4.5 µm, 5.8 µm and 8 µm) の赤外線を同時に観測するためのカメラ。256 x 256 画素。
◆IRS (InfraRed Spectrograph)

4波長 (5.3 µm-14 µm, 10 µm-19.5 µm, 14 µm-40 µm, 19 µm-37 µm) の赤外線を分光観測できる分光計。
◆MIPS (Multiband Imaging Photometer for Spitzer)

遠赤外線を観測するための観測装置。24 µm帯では128 x 128画素、70 µm帯では 32 x 32 画素、160 µm帯では 2 x 20画素。
冷却用のヘリウムは2009年5月に底を突き、望遠鏡の温度は5.5ケルビンから30ケルビンにまで上昇した。これにより望遠鏡自体が赤外線を発するようになったため、最も長波長のチャンネルは観測に使用できなくなった。残りのチャンネルは2010年になっても「ウォーム・ミッション」として稼働を続けている。
◆◆観測成果
【2003年12月】
赤外線宇宙望遠鏡「スピッツァー」による初画像
・・・生命体の存在に関わる興味深いデータも

スピッツァー望遠鏡の特徴は、高感度の赤外線観測にある。たとえば、本来ぼんやりとしたガス雲としてしか見えない散光星雲IC 1396の内部を、若い星々の姿を伴ったまばゆいばかりの画像として捉えている。また、おおぐま座の渦巻き銀河M81も、今までに見せることのなかった光輝く様子を見せている。赤い部分は星形成活動が行われているところだ。このように可視光では見ることのできなかった範囲を銀河スケールで捉えることで、星形成などについての研究を進めていくことも可能になる。

また、地球から24光年離れたフォーマルハウト(みなみのうお座の1等星)付近では、回転する巨大なちりの円盤の姿が発見された。この円盤は、惑星系形成後に残された残骸だと考えられる。他の望遠鏡による観測では、円盤の内側の情報はあまり得られていなかった。スピッツァー望遠鏡では、さまざまなちりの温度差を観測して惑星系の進化について情報を得ることもできる。


さらに、生命体の存在に関わる興味深いデータももたらされている。32億光年離れた銀河や原始星HH 46-IRから、水や有機分子の存在が発見されたのだ。32億年前といえば、地球上に最初の生命が誕生するよりはるか以前のことである。なんとも興味をそそられる発見だ。
【2004年6月】
スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡、
惑星形成領域に生命をつくる物質成分を発見
スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡の観測によって、惑星系の形成が進む領域(原始惑星系円盤周辺)に凍った有機物質が大量に分布しているようすが明らかになった。

観測対象となったのは、われわれから420光年離れたおうし座にある、ひじょうに若い5つの恒星である。惑星形成の途上にある円盤のちりの中に有機物質が発見されたのは初めてのことだ。水で覆われ凍ったちりは、メタノールと二酸化炭素を含んでいる。これらの物質の存在が、彗星のような天体の起源を解明してくれるかもしれない。地球には、こういった彗星によって水など生命に必要な物質がもたらされたと考えられている。
【2005年6月】
星が星を産む、ηカリーナ星雲の内部
スピッツァー宇宙望遠鏡が赤外線で撮影した画像で、η(エータ)カリーナ星雲の中に潜む星の胎児たちが捉えられた。この星たちを産むきっかけとなったのは、同じく星雲の中にある巨大な星、ηカリーナ(りゅうこつ座η星)とその兄弟星たちだ。

(提供:NASA/JPL-Caltech/N. Smith (Univ. of Colorado at Boulder)
画像は、ηカリーナ星雲の"South pillar"(南側の柱)と呼ばれる領域を写したもの。この星雲の中でもっとも有名な星、りゅうこつ座η星は、赤外線では明るく輝き過ぎるので写真には入ってないが、その光が画像上部から差し込んでいるのがわかる。りゅうこつ座η星は太陽の100倍もの質量をもつ巨大な星であり、やはり質量の大きな兄弟星とともにηカリーナ星雲で生まれ、紫外線と恒星風を放ち続けてきた。これが星雲を切り裂き、画像に見られるようにりゅうこつ座η星を向くような「柱」を作り出すとともに、ガスを圧縮して新しい星を誕生させた。こうして生まれた星もまた、星雲の外側のガスを圧縮するので、まさに星が星を産む状態となる。
【2006年2月】
宇宙に浮かぶ巨大「竜巻」
NASAの赤外線天文衛星、スピッツァー宇宙望遠鏡が、宇宙に浮かぶ巨大な竜巻のような構造をとらえた。その正体は、生まれたばかりの星が発するジェットによる衝撃波だ。「今まで何千枚というスピッツァーの画像を見てきたが、このような構造を見るのは初めてだ」とハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究者ジョバンニ・ファツィオ氏(Giovanni Fazio)が語るように、形といい、発する波長の多彩さ(疑似カラーで表現されている)といい、とてもユニークなものだ。「竜巻」は、目下多くの科学者を巻き込んで議論の対象となっている。

▲赤外線観測で明らかとなったHH49/50の竜巻構造。(提供:NASA / JPL-Caltech / J. Bally (University of Colorado) )
【2007年1月】
わし星雲の「巨大な柱」は既に崩壊した?
赤外線天文衛星スピッツァーによる「わし星雲」の観測から、ハッブル宇宙望遠鏡の画像で有名な暗黒星雲の柱が、実は今この瞬間には存在してないことが示唆された。
NASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影した数ある天体画像の中でも、1995年に発表されたこの画像はもっとも有名なものの1つではないだろうか。これはへび座の方向約7000光年の距離にある散光星雲・M16(わし星雲)の中心部で、暗黒星雲がまるで柱のように浮かんでいるようすをとらえた画像だ。

▲ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した暗黒星雲の巨大な柱(提供:NASA, ESA, STScI, J. Hester and P. Scowen (Arizona State University))
7000光年離れているということは、今見ている柱は7000年前の姿だ。しかしながら、アメリカ天文学界の会合で発表された研究結果によれば、現在「現実の」柱はすでに崩れ去ってしまっているかもしれない。
◆研究チームはNASAの赤外線天文衛星スピッツァーを用いて複数の波長の赤外線でわし星雲を撮影した。画像は、それらを重ね合わせた疑似色画像だ。赤外線は暗黒星雲を見通すことができ、内部で育った恒星も見えている。

▲スピッツァーによるわし星雲・M16。拡大画像には「柱」の位置も示されている。(提供:NASA/JPL-Caltech/N. Flagey (IAS/SSC) & A. Noriega-Crespo (SSC/Caltech))
緑は比較的冷たいちりからの放射で、中央付近にはあの有名な3本柱も写っている。一方、赤は加熱されたちりからの放射だが、球殻状に広がっていることがわかる。研究チームによれば、この構造は爆発したばかりの超新星の周りに見える特徴的なものだということだ。広がりゆく衝撃波によってガスが加熱されているのである。
【2007年2月】
らせん星雲の中心にちりの円盤を発見、
彗星が次々と衝突した結果か
有名な惑星状星雲「らせん状星雲」の中心部に異常な量のちりが存在することを、NASAの赤外線天文衛星スピッツァーが発見した。かつてそこにあった恒星の周りを回っていた、無数の彗星どうしが衝突してまき散らしているものとみられる。
太陽の周りを8つの惑星と無数の小惑星や彗星がおおむね規則正しく回っているのが、現在の太陽系だ。そんな太陽系も50億年後には、今回スピッツァーが撮影した画像のような姿を見せているかもしれない。

▲スピッツァーによるらせん状星雲。3種類の赤外線で撮影して重ね合わせた擬似色画像。青や緑は主に早い段階で吹き飛ばされた外層。中心部の不気味な赤い「目」は円盤の輝きだ(円盤自体は小さすぎてこの画像では判別できない)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/K. Su (Univ. of Ariz.))
スピッツァーが撮影したらせん状星雲はちょうどわれわれの太陽と似た恒星が生涯の最期に残した天体だ。恒星は核融合反応に必要な燃料を使い切り、とどめきれなくなった外層は周りの宇宙空間へと吹き飛ばされた。中心には小さくて高密度な「燃えかす」である白色矮星が残り、余熱による放射で周囲に広がった物質をあぶり、さまざまな色で輝く惑星状星雲を作り出している。
【2007年8月】
スピッツァーとチャンドラ、4つの銀河による大合併を撮影
NASAの赤外線天文衛星スピッツァーやX線天文衛星チャンドラなどの望遠鏡が、4つの銀河が衝突しつつある場面をとらえた。大合併により宇宙最大級の銀河が誕生しようとしている。

▲銀河の合体現場。スピッツァーの赤外線画像(赤く着色)、地上望遠鏡の可視光画像(緑)、チャンドラのX線画像(青)を重ね合わせた疑似色画像。(提供:NASA/JPL-Caltech/K. Rines (Harvard-Smithsonian CfA))
銀河の衝突は、おおぐま座の方向約50億光年の距離にある銀河団(解説参照)「CL 0958+4702」の中で起きている。われわれの天の川銀河と同程度の銀河が3つ、そして天の川銀河の3倍の質量を持つ銀河が1つ、あわせて4つの大銀河がまさに衝突、そして合体へと向かおうとしている。

▲銀河の合体を間近で見たときの想像図。重力ではじき出されてしまった恒星のまわりを惑星が回っていたら、地上ではこのような光景が広がっているかもしれない(提供:NASA/JPL-Caltech/T. Pyle (SSC))
【2007年9月】
若い星を取り巻く円盤に大量の水蒸気を検出
NASAの赤外線天文衛星スピッツァーによる観測で、将来惑星が誕生すると思われる原始惑星系円盤に、地球の海水の5倍に相当する水蒸気が検出された。
米ロチェスター大学のDan Watson氏らの研究チームは、NASAの赤外線天文衛星スピッツァーを使い、原始星30個を観測した。原始星とは、ガスと塵の雲から凝縮したばかりの、生まれたての星だ。さらに星の周囲には、やがて惑星を誕生させると考えられる原始惑星系円盤(解説参照)が形成されている。

観測した30個のうち、ペルセウス座の方向約1000光年の距離に位置する「NGC 1333-IRAS 4B」で、原始惑星系円盤から水が検出された。スピッツァーの観測結果によれば、NGC 1333-IRAS 4Bでは、原始星を取り囲む雲に存在する氷が原始惑星系円盤にぶつかりながら、水蒸気となって降り注いでおり、水の量は、地球の海水の5倍に相当する。
赤外線の目をもつスピッツァーがとらえたのは、円盤にぶつかった氷が急速に温められて赤外線の波長で輝くようすだ。しかし、なぜNGC 1333-IRAS 4Bだけで水が検出されたのだろうか。その理由としては、ガスや塵のもっとも濃い部分が、スピッツァーに対してちょうど正面を向いていたためであり、かつ水がこのような形で存在する限られた期間に、ちょうど遭遇したためと考えられている。

「惑星が形成されると考えられる領域に、水が運ばれるようすがとらえられたのは、初めてのことです。地球の水は、彗星や小惑星によってもたらされたと考えられていますが、今回観測されたように水は、原始星を取り囲む雲の中にも氷として存在しているのです。円盤で検出された水蒸気は、やがては小惑星や彗星に含まれる氷へと変化するでしょう」と研究チームを率いたWatson氏は話している。
【2011年6月】
原始星の周りを漂う緑色の宝石たち
NASAの赤外線宇宙望遠鏡「スピッツァー」が、生まれて間もない恒星の周りにかんらん石でできた鉱物が存在していることを発見した。このような鉱物は高温の領域でしか作られないため、原始星の周辺には物質の移動が起こっている可能性が高いことがわかった。

▲「スピッツァー」が撮影した画像と、鉱物が存在しているイメージ図。一番上の図はスピッツァーが撮影した赤外線画像で、矢印の先にあるのが今回鉱物が発見された原始星。真ん中の図は中心星の近くでできた鉱物が吹き飛ばされているイメージ図。一番下の図は円盤に鉱物が降り注いでいるイメージ。(提供:NASA/JPL-Caltech/T. Pyl)

▲今回見つかった鉱物の存在を示すスペクトル図。緑で塗りつぶされた領域が、かんらん石でできた鉱物によるものであることを示す。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/C. Poteet (Univ. of Toledo))
星が形成されている領域のガスの温度は大体マイナス170℃と非常に低い温度であり、鉱物などができるような温度ではないことが知られている。しかしNASAの赤外線宇宙望遠鏡「スピッツァー」は、オリオン座の星形成領域にある形成されたばかりの星の周り、しかもその外側の辺りに、かんらん石でできた鉱物が存在しているのを捉えた。この発見は星がまさに形成されている領域では初めてのことである。
【2011年7月】
宇宙初期の銀河は合体するよりも周りのガスを食べて成長?
赤外線宇宙望遠鏡「スピッツァー」の観測結果から、宇宙初期の銀河は短時間で完結する衝突・合体ではなく、長い時間をかけた外からのガスの流入によって成長していることがわかった。
これまで銀河は、小さな銀河同士が衝突・合体することによって大きくなっていくと考えられてきた。しかし、NASAの研究チームによる最新の研究成果によれば、少なくとも宇宙の初期にできた銀河はこのようなすぐに終わってしまう「共食い」ではなく、銀河の周囲にあるガスをゆっくりと「草を食む」ように取り込み、成長しているらしいことがわかった。

▲ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したNGC1309という銀河を元にして作成したイメージ。左の絵は現在見られるような、それほど星形成が活発でない銀河の様子。右は昔の星形成が活発な銀河の様子を示す。星形成が活発なほうがより青くみえることがわかる。(提供:NASA/JPL-Caltech/STScI)
天の川銀河はアンドロメダ座大銀河と約50億年後に合体すると考えられているように、銀河同士の合体はよく見られることではあるが、今回の研究結果は、遠方の大銀河の成長は合体や衝突が主な原因ではなく、ガスが定常的に供給されたことによるものだと示している。
【2012年6月】
広範囲でとらえた宇宙最初の光
宇宙最初の大質量星やブラックホール由来と思われる赤外線背景放射を、NASAの天文衛星「スピッツァー」がとらえた。これまでより広い範囲の観測で、130億年前の光の分布パターンがより確かなものになってきた。
137億年前の大爆発「ビッグバン」から始まった宇宙はやがて膨張して温度が下がり、約5億年後には最初の星々や銀河、ブラックホールが生まれた。それらの天体が発した可視光や紫外線の波長が伸びて(注)、赤外線として地球に届いているとされる。

▲「スピッツァー」がとらえた赤外線像(上)と、手前側の天体の光を取り除き(グレーの部分)、背景放射を浮かび上がらせた画像(下)。(提供:NASA/JPL-Caltech/GSFC
画像は、うしかい座の一画をとらえたものだ。上が通常の赤外線像で、下は手前側の星や銀河の光を差し引いて(灰色でマスクされている)背景の光を浮かび上がらせたものである。個々の天体を見ることはできないが、その放つ光のおおよその分布がわかり、予測とも一致している。
【2012年11月】
観測史上最遠方、133億光年かなたとみられる銀河
ハッブル宇宙望遠鏡と赤外線天文衛星「スピッツァー」、そして自然界のズームレンズを利用した観測により、これまで知られている中で最も遠い、133億光年かなたとみられる銀河が発見された。
「CLASH」プロジェクト(ハッブルによる銀河団拡大観測および超新星サーベイ)で発見されたこの銀河は、ビックバンからわずか4億2000万年後のものとみられている。つまり、この銀河の光は約133億3000万年の時間を経て地球にたどり着いたのだ。
これだけ遠い銀河は本来なら非常に暗く観測することができないが、この銀河の80億光年手前に大質量銀河団があり、その強い重力によって光が屈折し拡大された3つの像が観測された(画像)。

▲大質量銀河団の重力を通して見える遠方銀河(左枠)。重力レンズ効果で拡大された3つの像が見える。(提供:NASA, ESA, and M. Postman and D. Coe (Space Telescope Science Institute), and the CLASH team)
「MACS0647-JD」と名付けられたこの銀河の幅はわずか600光年未満で(天の川銀河は直径約15万光年)、質量も天の川銀河の星を全て合わせたものの0.1%から1%程度に過ぎない。銀河の初期段階にあるとみられる。
「この天体は銀河の部品のようなものかもしれません。以後130億年の間、数十回、数百回、もしくは数千回の合体を通して、現在のような大規模な銀河となったのでしょう」(米宇宙望遠鏡科学研究所のDan Coeさん)。
【2012年12月】
宇宙のハンマー投げで飛ばされた星
NASAの天文衛星「スピッツァー」が、宇宙空間を秒速24kmで突き進む恒星とその進行方向に広がる繊細な構造の姿を鮮やかにとらえた。この星は、かつてパートナーだった別の星の爆発の際に振り飛ばされたと考えられている。

▲へびつかい座ζ星(中央の青い星)とその付近に作られる塵のバウショック(赤)。3波長の赤外線で観測しそれぞれに別の色を割り当てた擬似色画像。(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA
NASAの赤外線天文衛星「スピッツァー」が、宇宙空間の塵の中を秒速24kmで進むへびつかい座ζ(ゼータ)星をとらえた。恒星から吹き出す激しい恒星風が周囲のガスや塵とぶつかってアーチ状の衝撃波(バウショック)を生み出し、星の進行方向の前面に広がる繊細な糸のような構造として見えている。
へびつかい座ζ星は約370光年かなたにある巨星で、質量は太陽の20倍、明るさは8万倍もある。かつてはさらに重い星と連星を成していたが、その星が爆発して最期を迎えた時、ハンマー投げで手を離したときのように振り飛ばされたと推測されている。
【2015年3月】
初めてとらえた、星の“0歳児”の急加熱
最初期段階の恒星が急激に高温になるようすが、赤外線のアウトバーストとしてとらえらえた。恒星が取り込む物質が急増したことによるものとみられる。

▲原始星HOPS 383の急増光のようす。(提供:E.Safron et al.; Background: NASA/JPL/T. Megeath (U-Toledo))
オリオン座の方向1400光年彼方の星雲NGC 1977の近辺で、生まれたばかりの星HOPS 383が赤外線で急増光(アウトバースト)するようすがとらえられた。NASAの宇宙望遠鏡「スピッツァー」などの観測データでは、2004年から2006年にかけての増光がまず見つかり、2008年には波長24μmの赤外線で35倍の明るさになった。その後2012年になっても明るさは衰えなかった。

▲NGC 1977はオリオン座大星雲(M42)のすぐ上(北)にあり、「ランニングマン星雲」とも呼ばれる。
(「ステラナビゲータ」の星図に投稿ギャラリーより藤吉健児さん撮影画像をマッピング)
HOPS 383は、わずか15万年しか続かない恒星の最初期段階にある「クラス0」の原始星で、この段階でのアウトバーストがとらえられるのは初めてのことだという。
研究チームではHOPS 383の長期間にわたるアウトバーストについて、不安定になった塵とガスの円盤から恒星に取り込まれる物質が急増したことで起こったのではないかと考えている。物質が集中して注がれた箇所が高熱となり、恒星と円盤両方が急激に熱せられたのかもしれないという。
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