ラインハルト・サビエ
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1999年 下関市立美術館で展覧会が開催されたノルウェーの画家ラインハルト・サビエを紹介しよう。
◆ラインハルト・サビエは1956年、オスロに生まれ、大学で心理学を専攻しながら、卒業目前に学問を捨てて絵を描き始めた。まったくの独学にもかかわらず。驚くべき表現力でたちまち頭角を現わし、1987年のノルウェーナショナル美術100周年記念展に招待され、一等賞を受賞して美術界の注目を集めた。
グワッシュ、クレヨン、パステル、布のコラージュなどで繊細に描かれた人物や風景には、常に現代社会に対する強い危機意識が込められている。
「イギリスの炭鉱夫は、いつも小さな籠に入れた鳥を深い坑内につれていった。もし酸素が足りなくなったら小鳥が倒れ、鉱夫たちに差し迫った危険を知らせた。
美術家はいつもこうした<予兆の鳥>だった」
とみずから書いたように、サビエは現代文明に警告する<予兆の鳥>であろうとしている。
サビエが描く老人、女性、子供たちの悲しみと慈しみと深い洞察を湛えた「まなざし」は、わたしたちに現代という世界に生きることの意味をきびしく問いかけてくる。
・・・・・・ラインハルト・サビエ展より 1999年 下関市立美術館・・・・・・・・・















